矯正歯科治療を開始する時期と医療費控除

矯正歯科治療は殆どの場合が健康保険の適応外で、自費だ。

そして、相談に行ってから通院先を決定して本格的に治療開始するまでが、なんやかんやで長い。

仮に抜歯が必要だったとする。その場合、抜歯した後に動的治療が本格的に始まる。

抜歯が必要か不要かについては、必要な資料を揃え、資料に基づいて診断が出るまでわからない。

 

抜歯が必要な場合、通常、矯正歯科から紹介元の口腔外科に便宜抜歯を依頼して、患者さんは自分のの都合と紹介先の都合を合わせて予約を取り、などとやりとりがあり、患者さんは依頼書やレントゲンなどの資料を持って頻繁に往復することになる。

手術の必要な顎変形症などの場合は、誤診や不正を防ぐためにも、そもそも手術が可能かどうかを調べるためにも、大学病院など矯正歯科以外の別の機関でもう一度診断を出してもらうことが推奨されている。この場合患者さんは、矯正歯科からの紹介先の大学病院などに何度か行くことになるので、余計に時間がかかる。

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ところで、医療費は税金の控除の計算をするときにかかわりがある。

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金銭的に控除される金額をまとまった額にしたい場合は、できるだけ年末までに通院先を決定し、年明けから本格的に診断を受けたり治療を始めたりしたほうが良い。

ちなみに抜歯は殆どの場合自費で、さらに、準備段階で抜歯時の事故を防ぐためにいくらか費用のかかる操作をする場合もある。

※便宜抜歯を行うと治療を推し進めるしかなくなるため、装置の慣れやアレルギーや顎関節の位置との兼ね合いをみてから抜歯を行うこともあります。

 

また、期間的なことに関する感覚を優先して、年明けからドンドコバリバリ始めるぞ、とか、○年先には装置を外して何処何処に行くぞ、と意気込みたい場合は、9月くらいまでに、通院先を決めたほうが良い。

 

 

高額療養費制度の申請することはオペの必要な顎変形症などでない限り、ない。

www.mhlw.go.jp

 

だけど、自費の治療は医療費控除の申請をすることができる。

 

No.1120 医療費を支払ったとき(医療費控除)|国税庁

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1120.htm

 

要件の項にあるように、「その年の1月1日から12月31日までの間」の医療費をまとめて計算することになる。

「その年の総所得金額等(※源泉徴収される前の金額ではない)」が200万円以上ある場合は10万円を超える金額、ない場合は「その年の総所得金額等」の5%を引いた額なので、ある程度まとまった金額でなければ該当しない。

年明けから検査と診断をしてもらい、どんどん装置をつけていくと、控除額としてはあまり中途半端な金額にならずに済む。

 

所得から控除されるので、実質的に支払った医療費分の所得がなかったことになる。

 

No.2030 還付申告|国税庁

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2030.htm

申請をわすれいていた場合、遡って申請することもできるが、早めに申請したほうが良い。

確定申告の期限の3月でなければならないという決まりはないので、あなたの権利が消えてしまう前であれば、いつでも。

 

「納め過ぎの所得税の還付」なので、同一生計内で誰も納税していない場合は関係がない。

※住民税の金額も変わってくるみたいです。国保の場合は保険料も変わるようです。税務署ではなく自治体の納税課などに聞いてくださいませ。(2018年8月追記)

 

給与所得者と税|税について調べる|国税庁

 

https://www.nta.go.jp/shiraberu/ippanjoho/pamph/koho/kurashi/html/image/02_1_01b.gif

国税の図でいえば、Bの課税所得金額の計算のところで引かれているのが、

医療費控除などの所得控除額、ということになるんじゃないだろうか。

と、思ったけど、国税のサイトリニューアルで画像が見えなくなりました。

 

 

歯の治療については、もうひとつ別に分けられた項目もある。

 

No.1128 医療費控除の対象となる歯の治療費の具体例|国税庁

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1128.htm

 

「発育段階にある子供の成長を阻害しないようにするために行う不正咬合」はOKで、

「容ぼうを美化するため」の治療は対象外なので、

申請をするにあたり、心の中で理論武装してから申請する方もいるだろう。

もし税務署で書類を突っ返されたら、通院先に相談して、診断書などを出してもらえばよいと思う。

 

長年の不況の中で、家庭の経済状況を察して治療せず、

具合が悪いところを我慢して成人していった人などたくさんいたし、

実はそもそも、矯正歯科治療は子供のうちにしないほうが良い場合が多いのだ。

(子どものうちにできることはありますが…)

 

電車やバスなどの交通機関を利用すれば、交通費も含めることができる。国税のサイトには、「小さいお子さんの通院に付添が必要なときなどは、付添人の交通費も通院費に含まれます。」とあるが、常識的な範囲で申請したい。

 

こちらから、医療費控除の書類の準備ができるので、エクセルを持ってる方は利用すると良いかもしれない。

平成29年を境に書式が変わってるようです。

www.nta.go.jp

 

 

下記は2015年頃のリンクとキャプチャ。

www.nta.go.jp

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